A Letter To Dad

 

数日後に迫った父の誕生日

お別れも言わないまま離れてそろそろ三年が経とうしている

一人暮らしをしていた時や海外に住んでいた時、

会わない期間もあったけれど

こんなに長いこと会っていないのは生まれて初めて。

どうしているかなぁと考えることはあっても

なかなか連絡を取るきっかけもない。

そんな時に仕事をすることになった雑誌がこの「商店建築」

ブティック特集でうちのお店を紹介したいという電話を受け、

上司に「一人でやってみる?」と任されて

自分で本国から図面を取り寄せしたり撮影の立会いをしたり

初めて一人で一から作った記事が掲載された記念すべき雑誌。

まさか一人仕事のデビューがファッション誌ではなく建築雑誌になるとは

夢にも思っておらず、これも因縁なのだろうか、と

はじめに思ったのが建築家だった父のことだった。

 

私は小さい頃は大のパパっ子で

休みの日の朝はいつも母ではなく父の布団にもぐりこんでは

天井の模様が顔に見えるね、なんて話をして過ごすほど

父のことが大好きな子供だった

しかしながら父は私に対していつもすごく厳格で、

テストで100点を取るのは当たり前、90点なんて意味がない、

と何をしても褒めてもらえない子供時代を送ってきた

勉強を頑張るのもピアノを頑張るのも父に褒めてもらいたいから、

ずっとそんな気持ちで優等生を演じていたけれど

思春期を迎える頃には徐々にその気持ちが反抗心に代わり、

私には偉そうなことばかり言うくせに

自分は好きなことしかやらずにろくに仕事もしない

責任感のない父に憎しみを抱くようになっていった

結局三年前、長年続いた私と父の確執もひとつの要因として

母が離婚する道を選び、

父は故郷である福岡に帰って家族はバラバラになってしまった

 

今、父に対する憎しみが全くないかと言われればそれは嘘になるけれど

それ以上に父を尊敬する気持ちや認めてもらいたいという気持ちが

今でも私の心の奥底には眠っていて

きっとこの気持ちは死ぬまで永遠に消えることはないのだと思う

この雑誌を真っ先に父に見せたいと思ったのがその証

私の心は30歳を過ぎても父に褒めてもらおうとする

小さな女の子のままなのだ

 

というようなことは勿論書けなかったけれど

簡単に近況を綴った短い手紙を

明日雑誌と一緒に父に送る

自分の気持ちに少し区切りをつけるとともに

記事を読んで少しでも娘のことを誇りに思って欲しいと願いながら。

パパお誕生日おめでとう。

 

SDIM3322

10 thoughts on “A Letter To Dad

  1. なんだか泣けた!!
    お父様、お誕生日おめでとう
    ございます。

    そして、なみちゃん
    1人でそんなすごい仕事してるの!
    おめでとう〜(^ω^)
    かっこいいわ〜♡
    雑誌見たい見たい!

    1. 父の存在って母とはまた違った特別な存在だよね。会えなくなって考えることも多いよ。
      雑誌、デジタル版がスマホで見れるので今度会った時お見せするー♡

  2. 本当。感動しちゃったよ。
    家族のことってあんまり考えたことなかったけど、自分の性格とか考え方に大きな影響をもたらしてるよね。尊敬できるお父様がいて羨ましい!

    そして担当特集デビュー!おめでとう。わたしも自分が担当したページ、ずっと取って置いてるよ。読みたいー!

    1. 家族って側にいる時はうざいくらいの存在だけど、いざ会えなくなるとこのままどちらかが死ぬまで会わなくていいのかなって思うよ。でも家族ってことが邪魔して会いたくても会えなかったりするのだけど。
      担当デビュー、建築雑誌になっちゃったw 次こそファッション誌で!笑

  3. わぁ、なみちゃん雑誌の編集だなんてすごいね! 私も見たいー!!
    父との確執か。お父さん、厳しいこといいつつもなみちゃんのこと誇りに思っていると思うよ。
    うちの両親も私のこと全然ほめたりしないけど、友達とかには自慢してるらしいよ。
    周りから聞いてびっくりしたことがある。いつか会えるチャンスがあるといいね☆

    1. 雑誌今度見せるねー!親って子供を思うあまりに厳しくなっちゃったりするんだろうね。今はそれがわかるけど中高時代とかは本当にわからなくて憎しみを抱いてたよ。。そのうち会って話せたら良いんだけどね!

  4. お父様と同じクリエイターの世界に身をおくことで、第三者に伝える難しさが自身の感度が上がる事を私は信じてます。
    そして年齢と共に人は広い視野で感情をコントロールできるので今が一番NAMIさんの本当の言葉だと思います。
    親子の愛は消し去ることは出来ませんしね(笑)。

    父の日にはお父様とデート出来たらいいですね。

    1. 父と私の大きな違いは組織に属しているかいないかですが、父のフリーで仕事をする過酷さを目の当たりにしたので今会社員として働く自分があるのかもしれませんね。毎年父の誕生日は父の日とかぶることが多いです。いつか一緒に美術館でも行けると良いなと思います!

  5. 僕は家族と全く仲良くなく、本当に家族?何て思う事がしばしばあります。(4年は会ってませんが)
    だけど、やっぱり脳梗塞で身体が不自由な父を心配しています。
    その気持ちだけでも持ち続いてます。静岡と東京で離れていても親子です。
    近いうちのいつか会いに行きたいと思いました。
    NAMIさんの話を聞いていたら本当に思いました。
    父の日とお父様の誕生日勘違いしてしまいました。
    すみません。
    お誕生日おめでとうございます。
    Sincerely。

    1. 家族とは…と考えると難しいですよね。家族だからこそわかることやわからないこともあるし。「家族という病」て本、面白いのでオススメですよ。
      無理してではなく自然にお父様と何かしら連絡取ったり会えると良いですね。

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